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【書評】ホリエモンの「成金」を読んで スマホ時代の今、この本に何を見るか

      2016/09/17


ホリエモンの小説。
書いたのはゴーストライターですけど。笑

読んでみた感想としてはこの本、ノウハウ本みたいな読み方をした方がいいです。

他の小説や物語のようなカラクリ要素はあんまりなくて、骨太のものを期待してしまうと物足りなくなるでしょう。
その一方で、考え方としては勉強になる部分が結構あります。

特筆すべき点としては、スマートフォンの時代である今だからこそ、この本は読む価値があります。
本の最後で、ITはやったもの勝ちだということについて触れていますが、ITをシェアリングエコノミーやクラウドに置き換えるとわかりやすいです。

 

情報戦の立ち回り方

「高度に発達したIT社会では、秘密や機密などあってないに等しい。だからこそだよ、徹底的にこちらが注意を払っている、それもまた相手にメッセージとして伝わる。いいか、堀井くん。結局、どんなに厳重に守っても情報は奪われるものなんだ。だが、厳重を期せば、相手は情報略取の代償として『時間』を失う。そしてな、私らの仕事はその時間が何より貴重なんだ。情報それ自体を守るのではなく、相手により多くの 時間を消費させる。それが情報戦で勝つコツだよ。きみなら、よくわかるだろう」

プライバシーだの何だの言っても、情報というのはどこかで漏れます。
表向きは「個人情報は厳重に管理します」とは言っていても、裏では業者に売り渡すというのが多いです。

またスパイやハニートラップの存在についても考えて動く必要があります。
日本の半導体技術が流出したのはそれらが原因でもありますし、その技術は現代でも通用するものです。

先日のオフレコ問題を見てもわかる通り、完全なプライベートというのは存在しません。
だとすれば、情報が流出するのを前提で動いたほうがいいです。

多少の情報が漏れだすのは覚悟のうえで、いかに自分のやりたいことにリソースを割くか。

情報戦では、守りの姿勢は基本的に不利なのです。

情報を盗んだり確かめている時間があれば、その間に何かできてしまう。
そうである以上、攻める姿勢を持たなければ情報戦はうまくいきません。

 

ずる賢さは重要

「成金の性は、悪だよ、堀井くん。いいか、悪なのだよ。景山は街にたむろするギャングだ。うちの朴社長は起業家でなければインテリヤクザとして、どこかの組織に収まっていたはずだ。2人はいまでこそ善人のふりをしているが、素顔は悪人なのだ。悪だからこそ、何度も何度も修羅場をくぐり抜け、強者になれたのだ」

悪は憎しみからは決して生まれはしない。どんなに景山を恨み、つらみ、悪意を持とうが、悪にはなれない。悪は、実績なのだ。悪は、知恵なのだ。悪は、経験なのだ。修羅場をかいくぐり、生き残ったものだけが得られる強さを、悪、というのだ。

経験、知恵、実績。
これらはどぎつい戦いを耐えぬいた人間にしか手に入りません。
言いかえれば、実力をつけるには強くなければならない。
そして、強くなって耐えぬいた結果得られるものが自分の力となり、より優位に立ち回れるのです。

「実力をつけるための実力」というのはあって、強くなるにも強さが要ります。

学校で部活動に入っていたひとは多いでしょう。

遠征に行った際、強いひとと練習するにはまず結果を出さなければ認めてもらえず、相手にしてすらもらえない。
試合に勝つためにはステージに立つことが必要だが、そのためにはトーナメントを勝ち上がらなければならない。

大会で結果を出すにはまず認められるような結果を出すしかなく、そのためにどうするかが欠かせません。
修羅場を乗り越えられなければ経験やノウハウが得られず、どんどん脱落していきます。

経験にしろ知恵にしろ実績にしろ、それらを積み上げるのには実力が必要です。
力のないものはどんどん置いて行かれ、力を付けることすらできません。
地力があるからこそそこから先の発展がありますし、修羅場をかいくぐれます。
若いというのは体力があるというメリットがある一方で、経験や実績が積めないというデメリットもあるのです。

 

スマホ時代に通じる考え方

90年代半ばから2000年前後のIT業界の熱気はすさまじかった。やったもん勝ちというより、やらないもん負け。とにかく誰もが高みを目指して突き進んでいた。

僕が本作で伝えたかった情報というのは、そうして坂を全力で駆け上がっていた人たちの息づかいだ。ぜいぜいと息を切らし、滝のような汗を流しながら前進する人間たちの、あさましくもかっこいい姿をみんなに知ってほしかった。

スマートフォンの普及により、シェアリングエコノミーやクラウドでのビジネスチャンスが増えつつあります。
このような時代はやったもの勝ちであり、「まずやる」ということの重要度が高いです。

リソースをケチっていれば、他の誰かに先を越されてしまいます。
ライバルは目に見えないところにいて、ボケっとしていたら自分のやろうとしていたことをやられたというのも考えられるでしょう。

自分のやることを実らせるためにはとにかくスピードが重要で、どんな形であれまずはやってみるぐらいの姿勢がいります。

今後リモートワークが普及することにより、誰もが副業を持つ時代がきてもおかしくはありません。
1億プチ起業家時代となっても、ネット上のリソースの利用を考えれば想定の範囲内になります。

コストが下がる以外はネットバブル時代の状況と変わらないでしょう。
「やらなきゃ損」というのはスマホビジネスにおいても成り立ちそうです。

 

余裕のあるひとは読んでおくといいでしょう

スマホビジネスの時代が来つつある今、この本を読む意味については否定できません。

歴史は繰り返すということで、2020年前後は2000年前後と同じような展開になるのではないかと考えられます。
だからこそネットバブル期についての本は読む価値があるのです。

フリマアプリや広告収入により、今や誰でもサイドビジネスができる時代です。
やったもの勝ちというのはここでも同じで、とにかく何かやったひとが勝ちます。
その中でどう振る舞えばいいのかは、過去の歴史を見ればよい。
その参考資料として、この本は読んで損はしません。

 

 

 

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