人間関係とコミュニケーションの教科書

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「研究者としてうまくやっていくには」を読んで

      2016/09/17


今日はこちら。

 

 

東大教授の方が書いた本です。

タイトルからわかるとおり、メインターゲットは研究者でずっとやっていこうというひと。
修士でやめて就職、学部生で就職、すでに社会人というひとも読んでおいて損はないでしょう。

内容としては、研究の世界は実際どうなっているのか、研究不正がなぜダメなのか、など。
読み物としてはちょうどいいでしょう。
裏側を知るだけでもいろいろなニュースがわかります。

 

学術界はムラ社会

アカデミアの世界は実際のところ、すごく小さいコミュニティです。
いわばムラ社会。出世レースも普通にあります。

実力主義と言われることの多い学術界も、現実にはそれとは正反対。
むしろ実力があるなど当たり前で、飲み会で情報交換したりなど、本質的には一般人と変わりません。

しいてちがうところを挙げるとすれば、幅広い知識が求められるということでしょうか。
たとえ理系であっても政治関係は知っておかなければなりません。文系の知識も必要。
単に自分の研究だけやっていてもダメだということです。

一見すれば自分の専門分野の知識だけあればよさそうですが、実際は真逆。
処世術などができなければ出世もむずかしいです。

 

研究不正がダメな理由もちゃんとある

研究不正がダメな理由もちゃんとあります。
それは道徳・倫理的なものではなく、学術そのものが性善説に立っているから。
けっしてズルいからやってはいけないというものではありません。

学術は性善説、すなわち研究者がちゃんと研究するというのが前提としてあります。
もしそこにまちがった結果が紛れ込んだらどうでしょうか。他の研究者がその結果を利用することで、まちがった結論が生まれます。

まちがった結論が生まれるということは、その研究がムダになってしまうということ。
データを用いた研究者はやったことがムダになってしまいますし、そのために投じられた税金も意味がなくなってしまいます。

そのようなことを防ぐため、研究不正に対しては厳しくチェックがなされるのです。

 

裏方を知るのに効果的

この本を読めば、研究不正まわりのニュースはわかるでしょう。
研究者の発言の真意などもわかります。

わたし自身、何回か学会や懇親会に参加していますが、なるほどそういう理由があったのかと謎が解けました。ウラではそういう理由があるのかと、非常にわかりやすかったです。

STAP細胞事件がなぜダメなのかも、この本を読めばまるわかり。
はてブでつまらないネガコメが並ぶのが悲しく見えてくるでしょう。
「研究不正を見つけたゾ」みたいな記事を読むよりはこっちを読んだほうがマシです。

 

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